高周波熱処理(焼入れ・焼戻し)

当研究所は、日本で最初に高周波熱処理装置、焼入技術を開発実用化しました。

「当研究所は、昭和16(1941)年より高周波発生装置並びに高周波焼入れに関する研究に着手し、大出力の工業用高周波発生装置を試作完成するとともに、終戦後のわが国工業界において、高周波周焼入れ技術を始めて確立し、その普及に指導的役割を果たした。高周波熱錬(株)<ネツレン>は、これらの装置及び加工技術を当研究所の指導の下、企業化した。
(『応用科学研究所要覧』より抜粋)

高周波誘導加熱の加熱面の特徴

1. 急速加熱・短時間加熱

・直接加熱の活用
・高周波電流・電磁誘導作用
→交番磁束が発生
→被加熱物にうず電流を誘起
→ジュール熱が発生(高エネルギーな直接加熱)
→短時間に大きなエネルギーの投入可能

2. 表面加熱

・「表皮効果(周波数が高いほど加熱層が浅い)」の活用

3. 部分加熱

・加熱コイル・冷却ジャケットの活用

川嵜一博:「熱処理技術入門」,高周波熱処理作業,(2004),p.272~,大河出版

高周波焼入れ処理品の一例

クランク軸のピン部の移動焼入れ
(ピン部等を移動で予熱-焼入れを行うことで、焼入れ後の歪みは少ない)

大型カム高周波焼入れ
(初期は変態点以下加熱、その後、最大出力で外周面均一加熱中)

エンジンバルブ冠状焼入れ断面

用焼入れ機による移動焼入れ
FC300鋳造品プレートの面硬化

クランク焼用割りコイル

各種加熱コイル

高周波焼入れ・焼戻しの材質面の特徴

川嵜一博講演資料より(2007年)