公募共同研究

rIas_X 研究開発プロジェクト

研究開発と言うものは、本来その開始時において結論が分かっているはずはなく、解明しようとする対象の大局に向かって、研究開発の過程で得られてゆく情報を参照しながら、その研究開発軌道を常に修正し、最大の成果を得ようとするものでなくてはなりません。

20世紀末にJapan as number oneと言われ、世界のトップに肉薄していた日本の科学技術が、それ以後あっという間に三流国に凋落してしまった現在、その根本原因は、豊かになった日本の状態を単に維持するために研究開発においても冒険を恐れて超々保守的になってしまったことが考えられます。

官僚的整合性、すなわち研究成果をも詳述した計画書類でなければ裁可されず、そしてそれに完全に整合した成功報告を、たとえそれがまやかしであっても、しなければならないという意識が無言のうちに支配的となり、マスコミがこれを後押して、官僚のみならず研究者・教育者そして企業経営者をも洗脳してしまいました。しかしこれは、未知のものに対する研究開発の進め方の本道とは全く相反することです。

rIas_Xプロジェクトはこのような状況とは距離を置き、未知の学問的技術的対象に真摯に向き合って課題の本質を解明し、新たな知見を得て技術的方法を開発することを目的としています。

rIas_Xプロジェクトは、企業等から資金を集めて応用科学研究所が単独で研究開発を行うものではありません。プロジェクトに参加するメンバーが相談して研究開発課題の具体的詳細を決め、それに則った開発計画を立て、その作業過程で得られる情報により活動を最適な方向に修正しながら、応用科学研究所の施設を利用するプロジェクトです。

本研究所常務理事久保愛三(京都大学名誉教授、現理事長)が世話役を務め、技術内容や開発課題の解決などについては、世界トップクラスの日本人技術サポーター(アドバイザー)が支援する体制をとっています。

公募の概要

機械基盤研究施設の運用において中核を占めるのがこの公募型の研究開発プロジェクトです。機械産業が必要としている研究開発テーマにつき、その研究開発プロジェクトの遂行資金を広く公募により集め、また、参加者を募り、参加(Participating)メンバー(以下、P-メンバー)が施設運営委員会ならびにアドバイザリーグループと共同して実施する研究開発です。

rIas_Xプロジェクトでは、全てのP-メンバーの意見を当該プロジェクト遂行に反映させるため、原則として2か月に1回の割合で研究開発会議を開いてrIas_Xプロジェクトの推進状況を報告し、プロジェクトの適切な遂行に務めます。すなわち研究開発は、世話役である公益財団法人応用科学研究所担当常務理事とP-メンバーが相談して、研究開発テーマの詳細、開発計画を決め、互選で選ばれたプロジェクトリーダーのもとで本研究所の施設を利用して行うことになります。

P-メンバーの参加費は1年1口1,000,000円とし、何口の参加も歓迎いたします。

P-メンバーは本rIas_X研究開発活動の結果得られる知見、権利等をその参加口数などによって決まる重みポイントに比例的な配分として受ける権利を有します。

施設運営委員会が認めた場合には、rIas_Xプロジェクトに関心のある会社等はプロジェクト遂行のための研究員・作業員を、当該研究開発プロジェクトに参加させることが出来ます。それにより研究員の派遣会社等はrIas_XプロジェクトP-メンバーの資格を得る事が出来ます。すでにP-メンバーである所が研究員・作業員を派遣した場合には、重みポイントに加算されます。本研究所はこれら作業者をOJT研修員として取り扱い、当該研究開発を通じて、また、従来から本研究所が専門としてきた、材料検査、材料熱処理、表面処理などの実務を通じて、機械基盤の教育を無償で行います。

P-メンバーは本施設の試用が可能です。しかしrIas_Xプロジェクトへの重みポイントに応じ、試用のスケジュール調整でより高いプライオリティーを得られる等の差別が生じます。本施設の試用は実費有償です。

この施設で行う公募研究開発テーマにrIas_X1等の識別を与えることにします。Realize the Idea as X1 project の短絡形であり、公益財団法人応用科学研究所(Research Institute for Applied Science)の短絡形との掛詞的表現になっています。

rIas_X3「高速X線回折測定による鋼材品質判定法の開発」

鉄鋼材料のX線回折反射光の半価幅を高速に測定できる技術が開発されています。半価幅が硬さと密接な相関がある事は、多くの材料研究者により古くから認められているところです。一方、マイクロビッカース硬さを多点測定してそのバラツキ […]

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rIas_X2「歯面性状向上とエッジ非接触歯加工法の開発」

浸炭焼入れ歯車の損傷に、かみ合い相手歯車の歯のエッジによる攻撃が大きな因子になっていることが、近年の研究で明らかになっています。この損傷発生に対処するため、焼入れ歯車の歯のエッジを相手歯面に接触しないように滑らかに落とす […]

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rIas_X1「焼入れ後仕上げ加工歯面性状向上法の開発」

浸炭焼入れ歯車の歯面を5軸制御マシニングセンター(以下、5Xマシン)で仕上げ加工し、その歯面の表面性状全般Surface integrity、すなわち、歯面粗さやうねり、歯面材の結晶組織状態、不純物や析出物の状態、残留応 […]

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