損傷解析・鋼材品質評価

本研究所は、高周波焼入れに代表される機械部品用鉄鋼材料の高周波利用改質技術の日本の発祥の地であり、現在でも特別に高度な技術が要求される高周波焼入れ処理や、高品質が要求される特殊なプラズマ窒化処理等を請け負っています。当然ながら、これらの処理品の確性試験は従来より通常業務として日常的に行っており、これらにより蓄積されている経験・知見を基に、多点硬さ分布測定ならびにX線回折評価技術を組み合わせた、世界に類を見ない独自の鋼材品質評価技術を確立すべく取り組んでいます。目的に適する腐食液により、ナイタルエッチング、ピクリン酸エッチング、その他で金属の組織を調査し、必要に応じSEMを用いた詳細観察、EDXやEPMAによる元素成分分布状態の確認も精度高く実施し、その鋼材評価を助けています。

損傷解析

経済の基盤構造の変質とそれに伴う科学技術の重点移動の結果、機械技術分野の教育ならびに基盤研究が疎かになり、熟練機械技術者が持つ知識・技能の継承が難しくなっています。機械技術の進歩は止まり、あるいは、ある分野では退化が起こっています。人間生活の質と産業を支えている機械装置も、長年の使用に伴いその機能は低下し、損傷が発生します。近年その発生確率が高くなり、異常事態発生までの時間も短くなっています。熟練機械技術者が不在となりつつある現在、このような事態が発生すると、機械製造会社や運用者側で原因を追求し、対策を立案することが困難になるケースが増えてきました。

本研究所には「歯車損傷大全」をまとめるほど、この分野での経験を積んだ技能者が健在であり、上記のような問題が起こった時の駆け込み寺的役割を果たしています。機械装置が損傷等の問題を起こした時の直接的な原因追求と対策の立案に本研究所の調査をご利用いただくとともに、その内容を事例の当事者が理解し、ご自身の知識・技術レベルが向上する助けとなる様、本公益財団をご活用ください。日本の基盤機械技術の維持向上に尽くすのが本研究所の使命であると考えています。

鋼材品質評価法の独自技術開発に向けた取組み

近年、コストカットへのさらなる要求と材料調達のグローバル化により、同一規格の鋼種であれば同じ品質であり、元素成分のみが鋼材の品質をきめていると信じて、可能な限り安価な材料を世界中から求めようとする傾向が強まっています。その結果として、規格鋼種名とミルシートだけでは機械部品用鋼の品質を確定する事が困難な状況になりました。それに伴い、鋼材製品である歯車等の機械部品の損傷事故が増える傾向にあり、購入した鋼材の品質検査が重要になっています。本研究所は、数百~数千点のマイクロビッカース硬さを短時間で測定可能な「超多点自動HV硬さ測定装置」を開発し、このような状況に対応した鋼材の品質検査をおこなっています。この成果は、多点での硬さ分布状態を評価して鋼材品質を客観性を持って判断する日本歯車工業会規格(JGMA 9901-01:2020)としてまとめられています。

また、金属組織の結晶歪をX線回折反射光で連続多点測定してデバイ環の形状のバラツキを評価し、残留応力などの分布状態を明らかにするデバイ環解析装置DRA(Debye Ring Analyzer)を開発しました。上記のビッカース硬さ分布状態の解析とDRA解析結果とを併せて、鋼材の靭性等の情報をも含む精密な鋼材品質評価を行っています。

損傷解析・鋼材品質評価の具体的事例

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