実用超電導線材の機能的構造の最適化と機械―超電導特性の評価

超電導線材の開発は核融合炉の高磁場化、医療・研究用核磁気共鳴装置および大規模直流送電網の構築には不欠な要件です。本研究所では複数の企業および大学と共同で銀被覆ビスマス系(BSCCO)および希土類系(REBCO)等の超電導線材の機械的特性および超電導特性の評価を行っています。また核融合炉開発の基礎研究として核融合科学研究所と共同で機能的構造の最適化によるMgB2超電導線材の真性ひずみ特性の改善の研究を継続しています。

実用超電導線材は一種の複合材料であり、脆性な酸化物超電導材料を金属マトリックスに配向させ、さらに高靭性金属で補強します。熱膨張係数、弾性率等の選定により超電導成分に圧縮の残留応力が発生するように機能的複合構造を最適化させます。これにより下図のように超電導特性が可逆的である限界の応力(Rrec)・歪(Arec)を改良することができます。

主にこれらの機械―超電導特性に関する研究成果に対して国際低温材料会議(ICMC)から2017年Lifetime Achievement Awardが授与されました。